著者
早崎 公威
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.700-703, 2009-09-05

互いの重力で結ばれた二つの巨大ブラックホール(バイナリーブラックホール)の合体過程は,銀河中心の巨大ブラックホール形成に重要な役割を果たしています.今回,数値シミュレーションによって,バイナリーブラックホールの周囲に三つのガス円盤(三重円盤)が形成されることを示しました.そして,この系から放射される光にユニークな特徴,すなわち,エックス線や紫外線等は激しく周期変動し,可視光や赤外線はほとんど変動しないことが判明しました.今後,観測によってこのようなユニークな変動が見つかれば,バイナリーブラックホールの証明となります.一方で,二つのブラックホール間の距離が1パーセク(〜3.1×10^<13>km)程度のところでブラックホール同士の接近が停滞して合体できないという宇宙物理学上の重要な未解決問題があります.三重円盤という幾何学構造は,このバイナリーブラックホールの進化に伴う理論的問題を解決しつつ,観測可能な特徴をも併せ持つ自然なモデルになっています.実際に,銀河の中心のブラックホールにこのような構造が普遍的に存在することが観測によって示されれば,それは人類の宇宙観を大きく変えることになると考えています.
著者
早崎 公威 岡崎 敦男
出版者
日本流体力学会
雑誌
日本流体力学会年会講演論文集 (ISSN:13428004)
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.112-113, 2003-07-28

We study the accretion onto the neutron star in Be/X-ray binaries, using the 3D SPH code and the data from the simulations by Okazaki et al. (2002) for a coplanar system with a short period (P_<orb>=24.3 days) and moderate eccentricity (e=0.34). We find that a non-steady accretion disk is formed around the neutron star. The disk shrinks after the periastron passage of the Be star and restores its radius afterwards. While the mass-capture rate by the neutron star has a regular, strong dependence on the orbital phase, the orbital modulation in the accretion rate slowly gradually decreases. Our simulations show that the truncated Be disk model for Be/X-ray binaries is consistent with the observed X-ray behavior.