著者
金澤 治 白根 聖子 早川 さゆり
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.424-429, 2000-09-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
6

Shuddering attacks (SA, 身震い発作) は乳幼児期に発症する稀な良性疾患といわれ, てんかんとの鑑別を要する.発作は意識消失のない何秒間かの身震いで日単位で反復する.Essential tremor (ET, 本態性振戦) と同様の発現機序といわれ脳の未熟性による表現様式の違いとされるが, 報告は稀で本邦では皆無である.SAを呈する生後8~14カ月の乳幼児4例で, ビデオないしビデオ・脳波同時記録で発作時をとらえ病態を検討した.1例でSAに同期した筋電図より, ETの周波数とほぼ一致した.全例で発作減少ないし消失をみたが, MRI上脳の未熟性, トルコ鞍扁平, てんかんの家族歴, のある例もあった.従来SAは良性疾患で検索不要といわれるが, 神経系発達に関連した何らかの問題が潜む可能性がある.