著者
早川 歩
出版者
お茶の水女子大学心理臨床相談センター
雑誌
お茶の水女子大学心理臨床相談センター紀要
巻号頁・発行日
no.18, pp.57-66, 2017-03-01

心理臨床家訓練として重要なものの一つに,ケースカンファレンス(以下,カンファレンスと表記)がある。\しかし,訓練としてカンファレンスに参加する訓練生がカンファレンスをどのように体験しているかの研究\は十分に行われていない。したがって本研究では,心理臨床家の訓練生がカンファレンスをどのように体験\しているのかを明らかにすることを目的として,訓練課程修了後1~2 年目の心理臨床家に対して半構造化\面接を行った。KJ 法による分析の結果,大きく分けて,【臨床的な見方・考え方の蓄積】の機会になる,【ケ\ースに他者の視点を入れることによる気づき】が得られる,【取り組みや考えの評価をされる】場である,【発\表者とケースを尊重し,応援する姿勢が発表者を支える】場であるという4 つの意味合いがあり,自信や経\験の少なさといった訓練生の特徴が,体験の背景にある要因の一つであることが明らかになった。