著者
早瀬 吉雄
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.943-948,a1, 1994-10-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
10

水田域は, 自然の水循環を通じて洪水調節などの国土保全機能を果たしている。ここでは, 水田域の洪水防止機能の評価は, 耕作放棄など農業によって, 治水計画上の保留量が変化して計画洪水流量に及ぼす影響の検討と考え, 分布型流出モデルを用いて棚田域や中山間地水田域で耕作放棄した場合の試算を行い, 洪水防止・軽減機能の評価を検討した。機械排水している低平地水田域では,“自然に溜まる” 氾濫湛水量で評価され, ダムの洪水調節容量に相当する流域のある例を示した。さらに, 中山間地・農村域での洪水防止機能向上事業を土地改良事業と連携して推進することによって流域の水害発生の危険度の低下が図れることを提案した。