著者
山田 徹生 明石 英幹 山本 義久
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 = The aquiculture (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.153-159, 2012-03-20

マダイ量産種苗の放流用外部標識として利用できる鼻孔隔皮欠損を高頻度で作出する温度条件を明らかにする目的で,種苗量産施設を用いて飼育実験を行った。3実験の飼育温度は,孵化日(0日齢)から全長約5 mm まで20°Cを維持した後,5 mm から8 mm まで昇温し,それぞれ21°C,23°Cおよび25°Cで40日齢を過ぎるまで飼育した。また,これとは別に野外の比較的粗放な種苗量産池を用いた飼育実験を自然水温下(23°C)で行った。その結果,0日齢から36日齢までの間,20°Cから21°Cで飼育することにより約80~90%の割合で鼻孔隔皮欠損個体を作ることができることを明らかにした。これに対して,他のより高い温度における鼻孔隔皮欠損割合は1~34%と低かった。今回の実験は相対的に高水温と考えられるので,鼻孔隔皮欠損以外の形態異常にも注意する必要がある。