著者
今井 正 出濱 和弥 坂見 知子 高志 利宣 森田 哲男 今井 智 山本 義久 岡 雅一
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.273-280, 2016-09-20 (Released:2017-09-20)
参考文献数
27

ろ材の洗浄工程での硝化細菌の活性を維持するために,セラミックスろ材のアンモニア酸化能力に及ぼす乾燥の影響を調べた。25℃でろ材のアンモニア酸化活性測定後,それを海水から出して25℃の異なる3条件(湿度30%と60%の空気中,袋に入れて湿度飽和)で保存した。ろ材を30日目まで保存した後,再度アンモニア酸化活性を測定した。最初の活性と比較して,湿度30%と60%で保存したろ材の活性は,それぞれ6日目と21日目に半減した。湿度30%で保存したろ材の活性は7日目に失われたが,湿度60%では30日目にも3.2%の活性があった。湿度飽和状態では,ろ材は30日目でも約50%の活性を持っており,ろ材のアンモニア酸化細菌と古細菌は最初の状態と同様であった。湿度飽和で保存したろ材を海水に戻し,アンモニア源を添加すると,その活性は3日後に回復した。よって,洗浄工程においてアンモニア酸化活性を維持するためには,ろ材の乾燥を防ぐ必要がある。
著者
今井 正 出濱 和弥 坂見 知子 高志 利宣 森田 哲男 今井 智 岡 雅一 山本 義久
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.93-100, 2021 (Released:2022-03-20)
参考文献数
21

本研究の目的は長期間,硝化作用を有する熟成状態のろ材を保存するための安定状態を評価することである。密封して保湿状態にしたろ材のアンモニア酸化活性に及ぼす保存温度の影響を調査した。ろ材のアンモニア酸化活性を25℃で測定した後,これらを海水から取り出してジッパー付き袋に入れて,1~35℃の8段階の温度で180日間管理した。1℃で保存したろ材のアンモニア酸化活性は最初と同様であった。加えて,アンモニア酸化古細菌とアンモニア酸化細菌の現存量は,それぞれ14%と10%でわずかな減少であった。5~20℃で保存したろ材の活性は約50%まで減少した。活性のさらなる減少は25℃以上で保存したろ材で認められた。また,1℃で約3年間保存した場合でも,ろ材の活性が33%残っていることが示された。ゆえに,硝化作用を有する熟成ろ材の長期間保存のためのアンモニア酸化微生物の保持は,設定温度温度内では1℃で最も高かった。
著者
森田 哲男 今井 正 山本 義久
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.399-402, 2016-12-20 (Released:2017-12-20)
参考文献数
24

We investigated the removal of the monogenean parasite Benedenia epinepheli and survival of commercially-reared host red-spotted grouper Epinephelus akaara under immersion at salinities (0-20 psu) at 28-29 ℃. Replicate samples of juvenile grouper did not die in salinities of 6 psu and above for 2 hours. All parasites were removed from fish at <10 psu. Immersion time required for the complete parasite removal in 6 and 8 psu waters was 30 and 120 minutes, respectively. Our results suggest immersion into 6 psu salinity water for 30 minutes is a practical and effective treatment to remove B. epinepheli without significant mortality.
著者
森岡 泰三 亘 真吾 今井 正 山本 義久
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.179-181, 2019-03-15 (Released:2019-04-02)
参考文献数
17
被引用文献数
1

サワラ稚魚豊度の指標を簡便安価に得るため調査にシラス漁獲物を用いる方法を検討した。6月から7月にチリメンジャコの製造工程で除去されたチリメンモンスターをシラス4,200籠分確保し,サワラ仔稚魚の混入数を計数した。解析期間は混入が認められた期間とし,シラス総水揚げ量と加工重量を補助変量とした比推定量を用いて混入数を推定した。その結果総水揚げ12,645籠に対する混入数は41,636±2,542尾と推定された。本方法は生シラス調査に比べて費用とサンプル量を99%以上削減できる点で効率的であった。
著者
山田 徹生 明石 英幹 山本 義久
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 = The aquiculture (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.153-159, 2012-03-20

マダイ量産種苗の放流用外部標識として利用できる鼻孔隔皮欠損を高頻度で作出する温度条件を明らかにする目的で,種苗量産施設を用いて飼育実験を行った。3実験の飼育温度は,孵化日(0日齢)から全長約5 mm まで20°Cを維持した後,5 mm から8 mm まで昇温し,それぞれ21°C,23°Cおよび25°Cで40日齢を過ぎるまで飼育した。また,これとは別に野外の比較的粗放な種苗量産池を用いた飼育実験を自然水温下(23°C)で行った。その結果,0日齢から36日齢までの間,20°Cから21°Cで飼育することにより約80~90%の割合で鼻孔隔皮欠損個体を作ることができることを明らかにした。これに対して,他のより高い温度における鼻孔隔皮欠損割合は1~34%と低かった。今回の実験は相対的に高水温と考えられるので,鼻孔隔皮欠損以外の形態異常にも注意する必要がある。