著者
星野 優太
出版者
公益財団法人 牧誠財団
雑誌
メルコ管理会計研究 (ISSN:18827225)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.45-58, 2019-01-10 (Released:2019-06-17)
参考文献数
10

本稿は,エブリイホーミイグループの中核企業であるエブリイ社にインタビューしてその特徴を分析し,成功要因と課題を提示したものである。エブリイホーミイグループは,食に関する総合プロデュースグループとして新しい企業価値を生み出すという壮大な理念のもとに様々な事業を展開してきた会社である。 エブリイホーミイグループの成功の要因は,11のグループ企業が一つのホールディングス体制のもとに多様な業態の理念と戦略を共有し,中核のスーパーについて次々と新たな店舗を開拓しつつ,新しいビジネスモデルを打ち出してきたことにある。しかも,それぞれの店舗は選択と集中により地域で一番を目指すという戦略,基幹店である緑町店などは産直売り場を思い切って3倍にするという圧倒的な集客力を実現する戦略等,ユニークな経営をおこなったところにその特徴がある。 とくにエブリイの優れた点を挙げると,一つは,独自のビジネス・マインドを持って経営をしていること,もう一つは,ミッションとメッセージを通じて有為な人財を育てていること,さらに付け加えれば,時流をいち早く読んで,その時代にタイミング良く新しいビジネスモデルに基づく店舗を開設していることにある。 そうしたエブリイのユニークな経営と新たなビジネスモデルの成功の要因について,実際の比率分析からその証拠を見出してみようというのが,本事例研究の狙いである。最後に,まとめとエブリイの今後の課題を提示している。