著者
チャップマン クリス 鈴木 寛之
出版者
公益財団法人 牧誠財団
雑誌
メルコ管理会計研究 (ISSN:18827225)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.63-79, 2021 (Released:2022-09-22)
参考文献数
13

本講演録は,2019年から毎年開催されている「定性研究のためのワークショップ」におけるクリス・チャップマン教授の講演を,鈴木寛之氏の協力を得て訳出したものである。今回は,クリス・チャップマン教授による講演の一つである「リサーチ・クエスチョンの理論化(Theorising research questions)」と質疑応答をお届けする。
著者
伊藤 嘉博 尾畑 裕 片岡 洋人 加登 豊 篠田 朝也 丸田 起大 吉田 栄介 澤邉 紀生
出版者
公益財団法人 牧誠財団
雑誌
メルコ管理会計研究 (ISSN:18827225)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.81-94, 2021 (Released:2022-09-22)

『メルコ管理会計研究』編集委員会の委員・委員長補佐にオンラインで集まってもらい,2020年8月12日に「査読制度についての座談会」を開催した。この座談会は,日本の管理会計研究者が査読制度についての理解を深めるための一助として開催されたものである。査読制度を運用する立場にある編集委員・委員長補佐同士がそれぞれの経験や考え方についてざっくばらんに意見交換し,それを読者と共有することが有用であるという考えにたち,下記に座談会の模様をお伝えする。
著者
柳 良平
出版者
公益財団法人 牧誠財団
雑誌
メルコ管理会計研究 (ISSN:18827225)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.3-14, 2014 (Released:2015-05-29)
参考文献数
26

財務会計上は監査済有価証券報告書の貸借対照表上の現金(及び有価証券)100の価値は100である。一方,管理会計上あるいはVBM(Value-Based Management)上,その価値は100であろうか。Valuationつまり市場による価値評価の観点からは,日本企業の現金(及び有価証券)の価値は例えば50程度であることを示唆する市場データや先行実証研究が存在する。本稿ではその差異に注目して市場評価の主な担い手である主要なグローバル機関投資家にサーベイを行い,その定性的評価について一定のインプリケーションを得た。そこからの知見に基づき,ディスカウント評価の背景のダイコトミー解決策として,VBMとしてのコーポレート・ガバナンス,Equity Spreadの採択,資本予算の高度化を考察する。
著者
堀井 悟志
出版者
公益財団法人 牧誠財団
雑誌
メルコ管理会計研究 (ISSN:18827225)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.29-45, 2021 (Released:2022-09-22)
参考文献数
22

本論文では,中期経営計画立案およびその後の期中管理に関する定性的研究によって,戦略化における中期会計目標の位置づけ・役割についてより詳細に検討した。その結果,特定の戦略や行動計画と結びついていない願望としての会計目標が社会コントロールとの補完関係のなかで達成すべき規範となることで,中間管理者にとっての戦略化の出発点および扇の要のような戦略的結節点として,組織に確固たる目標を与えるとともに,その目標に向かうからこそ企業活動に柔軟性をも与えているという会計目標の遂行性を明らかにした。また,その分析のなかで,経営管理期間の多様性,複雑性と相互関連性をも明らかにした。これらの知見は,管理会計の戦略化における役割についてだけでなく,管理会計における経営管理期間の適切性を明らかにしたという点で学術的な貢献をしたと考えられる。
著者
藤田 昌也
出版者
公益財団法人 牧誠財団
雑誌
メルコ管理会計研究 (ISSN:18827225)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.63-71, 2019-05-31 (Released:2020-04-24)
参考文献数
20

会計の記帳においては,控除という演算における減数という意味ではなくて,資産にたいして負数,利益に対して損失というように,経済活動上計算結果が負数になる場合が必ずあり,負数は不可欠な要素である。しかし実際上は負数が使われていることは,簿記生成の時期から今日までない。それは負数という目に見えないもの,存在しないものを,目に見える正数に喩えて認識しているからである。これを認識の知恵としてのレトリックとして理解し,さらに近代の会計観がこのレトリックの上に成り立っていることを示した。
著者
加登 豊
出版者
公益財団法人 牧誠財団
雑誌
メルコ管理会計研究 (ISSN:18827225)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.3-18, 2021 (Released:2022-03-08)
参考文献数
101
被引用文献数
1

「管理会計とは何か」「管理会計の本質はなにか」「管理会計に期待される機能は」という根源的な問いに答えることなく,あるいは,これらに対する回答は自明であるという前提のもとで現在の管理会計研究は進められている。かつて,管理会計研究の主要テーマであった管理会計の存在意義の検討は,いつの間にか行われなくなった。そのこともあって,昨今の管理会計研究は,管理会計の経営実践への有用性という視点から見れば羅針盤を失って漂流する難破船,あるいは,荒地に勝手気ままに育つ根無し草の様相を呈している。そのような管理会計研究は,経営者や上位管理者からも,また,他の経営学の研究者からも一瞥もされない。それにもかかわらず,研究者にはこのような現状を憂うる気配すらない。 本論文では,管理会計の存在理由を再確認した後に,なぜ管理会計の意義は忘れられがちになるのかを説明する。そして,管理会計の有用性を経営実践の場で正しく認識してもらうための方策やこのトピックスに関する検討事項を明らかにする。
著者
山本 達司 田口 聡志 三輪 一統
出版者
公益財団法人 牧誠財団
雑誌
メルコ管理会計研究 (ISSN:18827225)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.47-62, 2021 (Released:2022-03-08)
参考文献数
35

本研究では,従業員による逆淘汰の事例として予算スラックの形成に着目し,それを削減する企業内環境観察システムの提案を行う。すなわち,粗雑なシグナルを発するシステムと精緻なシグナルを発するシステムの比較検討を行う。実験室実験の結果,粗雑なシグナルを発するシステムが従業員の報告により強く影響を与え,シグナルの上限を超える報告に対して管理者が拒否する傾向が強かった。つまり,粗雑な情報を発する企業内環境観察システムと,その許容範囲を逸脱する従業員報告に対する管理者の拒否権との併用が,経営管理ツールとして優れている可能性がある。
著者
新井 康平
出版者
公益財団法人 牧誠財団
雑誌
メルコ管理会計研究 (ISSN:18827225)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.39-46, 2021 (Released:2022-03-08)
参考文献数
14

日本企業において,リーン生産の諸要素が工場・事業所の会計・経理担当者が必要としている会計知識に与える影響を探究することが,本論文の目的である。具体的には,群馬県の工場・事業所を対象とした郵送質問票調査に基づいた分析を実施した。分析結果からは,管理会計を複雑化するのではなく,簡略化された戦略管理会計実務を実施するために会計知識が必要とされることが明らかとなった。
著者
井上 秀一
出版者
公益財団法人 牧誠財団
雑誌
メルコ管理会計研究 (ISSN:18827225)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.19-37, 2021 (Released:2022-03-08)
参考文献数
36

本稿の目的は,医療機関の「会計化(Accountingization)」(Power and Laughlin 1992)におけるミドルマネジメントの役割について,in-depthのケース・スタディを採用し,そのプロセスを明らかにすることである。 会計化は,現場が会計コントロールによる影響を受けた結果,現場の活動が本来の姿から歪められてしまうような状態を意味する。会計化に対し,ミドルマネジメントは「吸収役(Absorption)」(Laughlin et. al. 1994ab;Broadbent and Laughlin 1998)と「双方向の窓(Two-way windows)」(Llewellyn 2001)という2つの役割を果たすことが指摘されている。 「吸収役」は,トップマネジメントから現場に対する会計の影響を吸収し,現場が活動に集中できるよう保護する役割である。「双方向の窓」は,ミドルマネジメントがトップマネジメントの示す会計情報を翻訳し,現場に浸透させる一方で,現場の意見を集約し,それをトップマネジメントにフィードバックする役割である。 本稿では,「医療機関のミドルマネジメントは,トップマネジメントからの会計的な圧力に対し,どのように吸収役や双方向の窓の役割を果たしているのか」というリサーチ・クエスチョンを設定し,ある政令指定都市の中規模私立総合病院を対象としたインタビューおよび参与観察を実施した。調査の結果,以下の3点が明らかとなった。 ⑴ミドルマネジメントは,現場への会計的な圧力によって現場の本来の姿が歪められてしまうことを防ぐために,吸収役としての役割を果たす。この場合,管理会計システムと現場の活動はルース・カップリングあるいはディカップリングの状態で維持される。 ⑵業績悪化をトリガーとして,ミドルマネジメントは吸収役を維持できなくなり,双方向の窓に役割が切り替わる。この場合,管理会計システムと現場の活動の連動が図られる。 ⑶各診療科別の損益データをはじめとした粒度の細かいデータをタイムリーに現場に提供することによって,ミドルマネジメントの役割が吸収役から双方向の窓に切り替わる可能性がある。 本稿は,Power and Laughlin(1992)で議論されている会計化の概念を拡張したうえで,上記⑴,⑵,⑶という経験的なデータに基づくプロセスベースの知見を加えたことに貢献がある。
著者
頼 誠 塘 誠 淺田 孝幸
出版者
公益財団法人 牧誠財団
雑誌
メルコ管理会計研究 (ISSN:18827225)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.63-74, 2016 (Released:2016-12-08)
参考文献数
18

今日の総合商社は単にトレードだけではなく,さまざまな機能を総合的に組み合わせ,バリューチェーンを創り出している。本稿では,事業計画の立案,コミットメント方法,事業のポートフォリオ・マネジメントについて明らかになった知見を紹介している。特に,主に三菱商事の事例をとりあげ,事業案件のスクリーニング,事業案件の評価の仕組み,リスクマネジメントといった戦略的マネジメント・コントロール・システムの概要を明らかにしている。