著者
高橋 直人 岩原 信一郎 宜保 陽介 竹永 清人 網谷 賢一 山口 朋禎 内田 高浩 星野 公彦 宗像 一雄
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.191-196, 2004-03-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
15

123I-BMIPP心筋SPECT検査(123I-BMIPP)では,心筋症において心筋集積に異常を呈することが知られている.今回我々は,心不全にて入院した拡張型心筋症(DCM)症例において,施行した123I-BMIPP上心筋無集積を認め,それを契機にI型CD36欠損症が診断された症例を経験したので報告する.症例は43歳,男性.平成14年4月に労作時呼吸苦が出現し近医にてうっ血性心不全と診断され,その後精査加療目的にて当科紹介入院となる.入院時血圧132/80mmHg,脈拍78/分,整.浮腫は認めず,心胸郭比は58.5%.利尿薬,血管拡張薬に加えβ遮断薬(carvedilol) の追加により心不全症状は消失.心臓カテーテル検査では冠動脈に有意狭窄はなく,左室造影でび漫性の壁運動低下を認めEF33%であった.左室心筋生検は炎症細胞浸潤は見られず,間質の線維化を認めた.T1-BMIPP心筋SPECT検査を施行したところT1にて不均一な血流損失を認め,123I-BMIPPでは心筋無集積となった.フローサイトメトリー検査にて単球,血小板の双方にCD36欠損を認めるI型CD36欠損症と診断された.肥大型心筋症とCD36欠損症の合併報告は散見されるがDCMとI型CD36欠損症の合併報告例は少なく,CD36と長鎖脂肪酸の心筋への取り込み機構や心筋細胞障害との関連が示唆されており,今後の研究が期待される.
著者
酒井 俊太 星野 公彦 多田 祐美子 井野 威 関山 達也 宗像 一雄 早川 弘一
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.187-191, 1993-02-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
11

症例は44歳の男性,主訴は動悸.18歳より歩行困難,20歳より上腕,大腿筋の萎縮と筋力低下,某病院にて肢帯型筋ジストロフィー症と診断.30歳時霧視,一過性視力低下出現し,近医にてベーチェット病と診断.1989年5月,胃潰瘍にて某病院入院.入院中心室頻拍を認め,精査のため当科入院.諸心機能検査にて著明な心機能障害,心筋生検にて心筋の萎縮・変性を認めた.肢帯型筋ジストロフィー症ではDuchenne型に比し心病変は軽度なことが多く,重篤な心筋障害を認めた報告は少ない.また,筋ジストロフィー症とベーチェット病との合併例は我々が調べ得た範囲ではいまだ報告なく極めて稀な症例と考え報告する.