- 著者
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加藤 文崇
星野 宏光
山本 為義
小林 省吾
棟方 哲
大里 浩樹
- 出版者
- 日本臨床外科学会
- 雑誌
- 日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
- 巻号頁・発行日
- vol.77, no.8, pp.2022-2026, 2016 (Released:2017-02-28)
- 参考文献数
- 21
爪楊枝の胃壁穿通による肝膿瘍の1例を経験したので報告する.症例は53歳の男性.心窩部痛を主訴に受診した.胆石発作が疑われ経過観察していたが,腹痛の改善を認めなかったため,腹部超音波検査・CT検査を施行したところ,肝外側区域に約3.5cm大の膿瘍と内部に針状陰影を認めた.異物の胃壁から肝への穿通による肝膿瘍と診断した.抗生剤による保存的治療を行い炎症の改善を得た後,異物除去を目的に腹腔鏡下肝外側区域切除術を施行した.異物は爪楊枝であった.術後は特に合併症なく,術後10日目に退院となった.異物の胃壁穿通による肝膿瘍の診断にはCT検査が有効であった.腹腔鏡下手術は低侵襲で可能であり,異物除去に有効であった.