著者
伊藤 卓爾 星野 芳夫 原 桂一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.313-316, 1958-03-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
8

青銅からのCuおよびSnの分離採取にはH2SO4溶液を用いる電解法が最も広く用いられている。この際,陽極溶解したSn2+は一般に酸化され,さらに加水分解して難溶性塩となり,液中に懸濁している。従来,Cuは主としてこの懸濁溶液から分離採取されている。ここに,この方法による採取Cuの純度低下の問題点がある。本研究においては,種々の電解条件により,析出Cu中へのSn夾雑量がいかに変化するかを検討した。その結果,Sn夾雑量を少なくして高純度CuをうるためにはCu2+濃度を大たし,電流密度を低くして電解することによりCuの析出状態を平滑緻密にすること,さらにまた,H2SO4濃度を大にし,温度は常温またはそれよりやや低くし,また,Fe3+のようなSn2+の酸化抑制剤の少量を添加してSn4+の生成とその加水分解による難溶性塩の生成を防止すること等の必要であることがわかった。