- 著者
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山田 和弘
星野 貴彦
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
- 巻号頁・発行日
- vol.106, no.478, pp.81-86, 2007-01-17
- 参考文献数
- 7
- 被引用文献数
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1
東海道新幹線においては,2009年よりお客様に対して,地上〜車上間の通信路に漏洩同軸ケーブル(LCX)を利用し,最大で約2Mbps/例車の通信速度で,新幹線車内でインターネット接続サービスを提供する予定である.また,将来的には通信速度を向上させる要求が高まると考えられるため,数十Mbpsのダウンリンク回線が構築可能な衛星通信方式や,100Mbps以上で双方向通信が可能なミリ波通信方式などの検討を進めている.しかしながら,衛星通信ではトンネル内に不感知帯が生じる,ミリ波通信では1アンテナのカバーエリアが高々100m程度であるなど,新幹線のような高速移動体通信においては,数十Mbps程度以上の広帯域通信を,ある1つの無線通信方式を利用して構築することは技術的にもコストの面からも容易ではない.このため,将来的にはLCX通信,衛星通信,ミリ波通信など複数の通信方式を利用して地上〜車上間の通信を行うことが考えられるが,それぞれを別システムとして扱うと,お客様が利用する通信方式を選定する必要が発生し,また選定された通信方式が切断された場合などにはシームレスに他の通信方式に切り替えることができないなど,複数の通信方式を構築するメリットが非常に小さくなってしまう.そこでこの問題を解決するため,本論文では,モバイルIP技術を活用した複数通信経路上での動的ルーティング,各方式間での不等価負荷分散を実現するシステムの構築,および東海道新幹線を利用した検証試験について報告する.