著者
春日井 愛子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.33, no.13, pp.1111-1115, 1959 (Released:2008-11-21)
参考文献数
6

(1)わさび地下茎はかなり著量のβ-アミラーゼを含むが,しかしその量は部位によって異り,中央部が最大で葉つきの部がこれにつぎ,末端部は最も少かった. (2)酵素の抽出はわさびをEDTA-システインの混液(pH 4.0)中にすりおろし乍ら行うと,単に酵素力のみならず以後の精製にも好都合な結果が得られた. (3)酵素は硫酸アンモニア0.6飽和で殆んど完全に塩析され,また酒精濃度40%で殆んど完全に沈澱した.これらの事実を利用して酵素を精製した結果,α-アミラーゼ作用を完全に除きながら単位窒素量当り純度を9倍にすることが出来た.また硫酸アンモニア溶液中より結晶様沈澱物として酵素を析出させることが出来た.終りに臨み終始御懇篤なる御指導を賜りました大阪市立大学理学部教授福本寿一郎博士並びに講師山本武彦博士,又試料の御恵送を賜った静岡県林業試験場上狩野分場長に厚く御礼を申し上げます.