著者
普光江 洋
出版者
特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
雑誌
日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学 (ISSN:13468111)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.100-107, 2009

咬合学は臨床家にはとっつきにくい学問と思われがちですが,決して難しいものではありません.正常な咬合を有しているすべての人が,すでに有している機能を科学することで機能不全に陥った患者さんを治療する,あるいはその前段階で病気を食い止めようという学問です. 有歯顎の治療はもちろんのこと,義歯の咬合,近年はインプラント治療における上部構造物の咬合の与え方が,その予後を左右することは異論を挟むことのない事実です. かつて,咬合学は難解な学問でしたが,それは咬合のメカニズムを機械的に構築し論理づける,という長く根気のいる時代が背景にあったからです.しかし,現代では先人と同じ苦労をする必要はありません.いま,目の前にある結果と必要最小限のテクニックを身に付けることで,咬合を自分のものにすることができます. 前回の咬合教室,第1限目では,咬合のスタートラインである「基準点を何処に求めるのか」,「ターミナル・ヒンジ・アキシスとセントリックの関係」についての話を進めるために,日本の近代歯科学に道筋をつけた先生方に登場していただきました.今回の2時限目は「基準位」をどのように考え,どうすればそれを臨床に応用することができるのか,さらにセファロ分析を加えることによって「治療計画」の中で,"何が変わるのか"といったことを,具体的な例を交えて展開していきます.
著者
普光江 洋
出版者
特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
雑誌
日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学 (ISSN:13468111)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.320-325, 2009-11-24 (Released:2015-02-03)

咬合学は臨床家にはとっつきにくい学問と思われがちですが,決して難しいものではありません.正常な咬合を有しているすべての人が,すでに有している機能を科学することで機能不全に陥った患者さんを治療する,あるいはその前段階で病気を食い止めようという学問です. 有歯顎の治療はもちろんのこと,義歯の咬合,近年はインプラント治療における上部構造物の咬合の与え方が,その予後を左右することは異論を挟むことのない事実となっています. かつて,咬合学は難解な学問でしたが,それは咬合のメカニズムを機械的に構築し論理づける,という長く根気のいる時代が背景にあったからです.しかし,現代では先人と同じ苦労をする必 要はありません.いま,目の前にある結果と,必要最小限のテクニックを身に付けることで,咬合を自分のものにできます. 前回の咬合教室では「What is the Reference position & Treatment planning for the malocclusion?」と題して,「基準位」をどのように考え,治療計画に活かしていくのか,その方法を中心にまとめてみたのですが,3時限目の今回は下顎運動とその診断です.下顎運動の基本を知っていなければ咬合治療を行うことはできません.今回は下顎運動が咬合面形態とどのような関係にあるのかといったところまで一歩踏み込んで,顎機能診断を咬合治療に生かすための基礎知識を学ぶ時間にしたいと思います.