著者
廣重 亮一 村上 知徳 曽我部 昭好 井上 章二 金城 一彦
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.199-207, 2016 (Released:2016-10-01)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

実建物を模したミニチュアハウスを用いた野外暴露試験により,住宅建築における基礎周囲や基礎内部におけるシロアリの活動状況について検討した。無処理区では基礎配管部からシロアリが侵入し,PEシートの端部を通過し,土間コンクリートの出隅部に生じたわずかな隙間を通り,基礎入角部に蟻道を構築した。さらに,蟻道は基礎パッキン上を延び,土台,柱,野地板などが食害された。土壌に敷設したPEシートの裏側の蟻土の付着率からシロアリがPEシート下のほぼ全面で活発に活動していることを明らかにした。防蟻処理区では7.9年経過後も基礎内への蟻道の構築は見られなかった。またPEシートの蟻土の付着率も無処理区の半分で,新たな蟻土の付着は見られず,防蟻施工がシロアリ侵入防止に有効であることが示された。
著者
廣重 亮一 曽我部 昭好 山崎 一利 高橋 信夫 井上 章二 金城 一彦
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.13-27, 2017

木質住宅の基礎構造部における配管貫通部の防蟻を目的として,非加硫ブチルゴム,EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン系ゴム)の2種のゴム基材とそれらに防蟻剤を添加したゴム基材の防蟻性を室内で検討した。また,現場での給水および排水配管2種のさや管工法における利用を想定した形状の試験体を作成し,それらの防蟻性能を野外試験で検討した。<BR>その結果,非加硫ブチルゴムは室内試験でDOT(八ホウ酸二ナトリウム四水和物)無添加で穿孔が見られたが,DOT を添加することで穿孔は抑えられ,ビフェントリン0.175%添加で穿孔はまったくみられなかった。野外試験ではDOT 無添加,添加区とも食害・貫通は見られなかった。<BR>EPDM も室内試験では非加硫ブチルゴムと同様の傾向を示したが,排水系及び給水系EPDM パッキンとも野外試験では食害は全く見られなかった。非加硫ブチルゴム,EPDMパッキン中のDOT の各試験における溶脱は僅かで,長期に有効な防蟻機能を維持可能なことが確認され,これらのゴム基材は,木質住宅の基礎構造部における配管貫通部の防蟻に充分使用できると考えた。