著者
上原 弘久 守屋 秀一 鶴上 浩規 波多江 文俊 最上 敦彦
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.310-313, 2020 (Released:2020-11-27)
参考文献数
6

スポーツ選手の鎖骨骨幹部骨折に対してプレートを用いて行った観血的骨接合術の成績を前方設置群(前方群)と上方設置群(上方群)に分け比較し検討した.対象は15例(前方群6例,上方群9例)であった.検討項目は競技復帰までの期間,肩関節自動挙上が180度になるまでの期間,JSS Shoulder Sports Score,術後の疼痛・感覚障害,皮膚トラブルの有無とした.競技復帰までの平均期間は,前方群で1.3 ± 0.4(SD)ヶ月・上方群で2.3 ± 0.8ヶ月であり前者で短期復帰可能であった(p=.011).自動挙上が180度になるまでの期間はそれぞれ1.6 ± 0.8,1.7 ± 0.9ヶ月,JSS Shoulder Sports Scoreはそれぞれ83.3 ± 5.6,81.5 ± 13.4点であった.術後の疼痛は両群とも2例ずつ,感覚障害は上方群で2例認めた.皮膚トラブルは上方群で3例認め,全例で抜釘術を施行した.スポーツ選手の鎖骨骨幹部骨折に対するプレート固定術において,プレートの前方設置は上方設置より早期の競技復帰が可能で術後皮膚トラブルによる抜釘が少ないため有用であると考えられる.