著者
有井 優太
出版者
日本教師学学会
雑誌
教師学研究 (ISSN:13497391)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.31-41, 2020 (Released:2021-07-16)
参考文献数
35

本研究では,学校の置かれた文脈や組織構造に即して校内授業研究における教師の関係性を検討し,その中で中心的な役割を果たしているリーダーを特定するために公立小学校1 校を対象とした事例研究を行った。具体的には以下2つの研究を行った。まず,研究Ⅰでは,校内授業研究に関する相談を誰にするのかを尋ねる質問紙調査を行った。そして,社会ネットワーク分析の手法を用い,ⅰつながりの多さ,ⅱつながりの強さという観点からネットワーク内で中心的役割を果たしているリーダーを特定した。次に,研究Ⅱでは,研究Ⅰで中心的役割を果たしていると特定されたリーダーを対象としたインタビュー調査を行い,相手による相談内容の相違を検討した。 研究Ⅰ,Ⅱの結果から,学校外から教科の専門知を学校内に循環させている役割を果たしているリーダーとして外部団体に所属する教師と教科部会のリーダーが特定された。また,校内授業研究として教師集団が協働して研鑽することを支える役割を果たしているリーダーとして研究部の教師と在校年数の長い教師が特定された。