著者
有賀 浩子 河西 秀 野池 輝匡 小池 秀夫 伊藤 敦子
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.88-91, 2002
被引用文献数
7

症例は73歳の男性.脳梗塞, 不整脈と肺癌手術の既往あり.2000年1月16日に突然腹痛と嘔吐が出現し急性腹症として内科緊急入院となり, 翌日腹膜刺激症状が出現したため外科紹介とされた.疼痛のため顔面は苦悶状, 腹部はやや膨隆していたが柔らかく下腹部中心に強い圧痛と自発痛があるが腹膜刺激症状は軽度であった.入院時に撮影した腹部CT検査で腸間膜血管内に樹枝状のガス像を認めたため, 門脈内にガス像はなかったが門脈ガス血症と同様の状態であると判断し, 既往歴および現症から腸間膜動脈閉塞症による腸管壊死と判断し, 緊急手術を施行した.開腹すると腹腔内に膿性腹水を中等量認め, 腸管はトライツ靭帯50cm肛門側空腸からバウヒン弁の10cm口側回腸まで壊死していたため, 壊死部切除とドレナージを施行した.術前推測しえた腸間膜動脈閉塞症により小腸壊死の1例を経験したので報告する.
著者
有賀 浩子 野池 輝匡 河西 秀 小池 秀夫
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.382-385, 2000-03-01
被引用文献数
14

症例は76歳の女性.突然に発症した腹痛と嘔吐を主訴として来院した.腹部は膨満し圧痛のみで腹膜刺激症状は認められなかったが, 腹部CT検査で腹水および肝臓両葉に門脈ガス像と小腸の拡張, 小腸壁内のガス像, 小腸腸間膜血管内と思われる部位にガス像を認めた.門脈ガス血症をきたした腸管壊死と判断し, 開腹術を施行したところ40cmの壊死腸管を認めたため切除し端々吻合とした.病理組織結果は虚血による腸管壊死で, 術後経過は良好であった.門脈ガス血症は比較的まれな疾患であり, 虚血性腸疾患に伴うことが最も多く本症例の発生機序は腸管潰瘍部から腸内細菌が門脈内へ移行した敗血症の一徴候と考えた.本邦報告例94例を検討すると, 予後不良の疾患とされていたが近年, 救命症例数は増加しており, 早期の診断と原因疾患の検索および治療が重要と思われる.