著者
古川 貴雄 森 薫 有野 和真 林 和弘 白川 展之 野村 稔
出版者
科学技術・学術政策研究所
巻号頁・発行日
2014-11 (Released:2015-02-05)

本調査研究では、計算機科学の中でも応用研究の傾向が顕著なウェブ関連研究を例に、当該領域における萌芽的研究の発展過程を分析する手法を提案し、その有用性について検討する。2002年から2011年に開催されたWorld-Wide Webカンファレンスのセッションを取り上げ、プロシーディングペーパーのアブストラクトを用いたテキスト分析により、セッション間を接続するネットワークを生成した。その結果、萌芽的な研究と考えられるソーシャルネットワークやマネタイゼーション研究の発展する過程が示された。さらに、カンファレンスセッションの時系列ネットワーク分析により次の知見が得られた。(1) 過去のセッションとの接続が多い収束セッションは、過去の研究トピックを統合したと考えられる。(2) その後のセッションとの接続が多い分岐セッションは、他の研究に影響を与えたセッションと考えられる。テキスト分析の安定性などの課題は残るが、提案手法は萌芽的研究の発展過程の分析に有用と考えられる。