著者
林 和弘
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.737-744, 2016-01-01 (Released:2016-01-01)
参考文献数
29
被引用文献数
1

欧州を筆頭に日本でもオープンサイエンス政策に関する関心が高まっている。オープンサイエンスの定義はいまだ明確には定まっていないが,現状を1つのムーブメントとしてとらえ,その本質を,今より研究成果の共有を進め,研究を加速ないしは効率化し,研究者の貢献を認めやすくすることとすれば,オープンサイエンスはさまざまな可能性をもつ。特に研究論文の出版という研究活動の一部のオープン化から,データのオープン化に対象が広がったことで,研究活動全体のエコサイクルを踏まえたサービスの構築とそれを念頭においた活動が進んでいる。現在の世界中のイニシアチブを俯瞰(ふかん)してみるに,これまで構築されてきた出版・共有プラットフォームが拡張され,より上位レイヤーの研究プラットフォームの構築に向かっていると解釈することが可能である。オープンサイエンスとその先にある科学技術・学術研究の新しい展開を見通しつつ,各ステークホルダーの能動的な変化が求められる。
著者
林 和弘 黒沢 俊典 松田 真美
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.408-415, 2012-09-05 (Released:2012-09-01)
参考文献数
8

MEDLINEに収録されている医学系雑誌のうち,日本が発行国のものについて,発行形態,電子ジャーナルプラットフォーム利用状況,Science Citation Indexの採録状況について調査を行ったところ,非商業誌が多く,電子ジャーナル化率が非常に高いことがわかった。また,Science Citation Indexにも採録されている雑誌のインパクトファクターを分析したところ,国内外のプラットフォーム利用でほとんど差がないことがわかった。また,インパクトファクターの経年変化を見ると,日本の電子ジャーナルプラットフォームを利用している雑誌のインパクトファクターの伸びは,他海外プラットフォームを利用している雑誌と比べて大きいことがわかった。さらにその国内外のプラットフォーム利用別にオープンアクセス化の状況を見ると,国内プラットフォーム利用のオープンアクセス化が非常に高く,両者に大きな差があることがわかった。
著者
時実 象一 井津井 豪 近藤 裕治 鶴貝 和樹 三上 修 野沢 孝一 堀内 和彦 大山 敬三 家入 千晶 小宮山 恒敏 稲田 隆 竹中 義朗 黒見 英利 亀井 賢二 楠 健一 中西 秀彦 林 和弘 佐藤 博
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.555-567, 2011 (Released:2011-12-01)
参考文献数
40
被引用文献数
2

現在海外では科学技術医学分野における主要学術雑誌の論文はほとんどPDFとともにHTMLでオンライン公開されている。これらは内部的には各種SGMLまたはXMLで編集されているが,外部に対しては,ほとんど米国医学図書館(National Library of Medicine: NLM)が策定したNLM DTD(NLM Journal Archiving and Interchange Tag Suite)にしたがったXMLで流通している。しかし日英混在の書誌・抄録・引用文献情報を持つわが国の多くの学術論文は,英語世界で生まれたNLM DTDで適切にXMLで表記することができなかった。筆者らはこのNLM DTDを,日本語を含む多言語に対応できるよう拡張するためのワーキング・グループSPJ(Scholarly Publishing Japan)を結成し,米国のNLM DTDワーキング・グループと連携しながら検討・提案を行った。その結果は2011年3月にNISO(National Information Standards Organization)のJATS(Journal Article Tag Suite)0.4(NLM DTD 3.1が移行)における多言語機能として公開された。本稿では,学術論文におけるSGML,XMLなどマークアップ言語の利用の歴史を振り返るとともに,SPJの活動の経緯,実現したJATS 0.4の概要について述べる。
著者
林 和弘
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.160-163, 2022-05-01 (Released:2022-05-01)

AIの活用を含むデータ駆動型社会の実現や,より包括的なオープンサイエンスが目指す科学,社会,科学と社会の変容に向けて,UNESCO,G7,OECD等の国際的な動きが活発化しており,また,欧州を筆頭に日本でも研究データ基盤整備などが進んでいる。本稿では,オープンサイエンス政策の現状と学術情報流通を中心とした研究データ利活用の国内外の動向について解説し,レファレンスサービス関連を含む学術情報流通サービスの展望を述べる。
著者
野村 紀匡 林 和弘
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第16回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.67-72, 2019 (Released:2019-06-14)

本研究では,欧州発のPlan S(プランS)が日本の学術情報流通に及ぼす潜在的な影響について,論文分析を用いた分析結果をもとに考察を行った。まず欧州と日本が共著する論文のうちのプランS対象論文割合とそのオープンアクセス率を算出し,プランSと日本の関係を概観した。また研究分野別・論文著者所属機関別の分析を実施することにより,分野や機関によりプランSの影響度が異なるかを検討した。その結果,プランSの日本への影響は,米国や中国が受ける影響に比べると限定的ではあるものの,相対的に影響が大きい研究分野・機関があることが判明した。特に東京大,京都大,理化学研究所には,プランS対象論文の責任著者が比較的多く所属しており,今後欧州の研究者と共同研究をする際には,cOAlition S参加機関からの助成有無の確認,成果論文発表先ジャーナルの選定等において,プランSを念頭に置いた注意が求められる。
著者
林 和弘
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.198-206, 2009 (Released:2009-07-01)
参考文献数
29
被引用文献数
2 1

日本の学術出版におけるオープンアクセス活動の状況について,日本の学協会ジャーナルを中心に紹介と考察を行う。日本化学会ではオープンアクセスオプションを採用した結果,オープンアクセス選択/非選択によって,ダウンロード数には明確な差が表れた。被引用数にも一定の差が見られたものの,審査期間の影響が強くオープンアクセス化の影響とは言い難いことがわかった。また,その他欧米のようなオープンアクセス対応を行っている学会は日本では少なく,多くが電子ジャーナルを無料で公開しており,機関リポジトリに対する方針を決めていないところも多い。この状況は日本の特殊な論文誌事業体制に由来すると考えられるが,欧米のように論文誌出版活動で大きな利益を得ていないことが,オープンアクセスの実装を本格的に試すには好条件であることを認識し,状況に応じて出版関係者は研究者とともに積極的に活動すべきである。
著者
林 和弘 中谷 敏幸 太田 暉人
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.902-913, 2009 (Released:2009-03-01)
参考文献数
13
被引用文献数
3 2 1

電子出版では電子ジャーナルサービスを支える,XMLなどに代表されるメタデータを作成することが必須である。日本の主な学術ジャーナル出版では冊子製作後に電子ジャーナル用データを作成することがまだ多く,速報性に欠けるなどいくつかの電子ジャーナルの利点を生かせていない。日本化学会では国際標準的な電子出版を目指してSGML,TeXなどのメタデータを利用したさまざまな手法を経験した。それらのメリット,デメリットと国際状況を考察し,その結果を踏まえて改良し2009年から開始した国際的にも通用する新しいXML出版体制を紹介して運用と課題を考察する。この体制では,eXtylesというツールを利用してMS-Wordから直接NLM-DTD準拠のXMLを作成し,できたXMLを利用して版下を作成後,著者校正が終わり次第すぐに電子ジャーナル公開が可能になる体制となった。
著者
林 和弘 吉本 陽子 佐藤 遼 鈴木 羽留香
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.270-283, 2019-10-25 (Released:2019-10-29)
参考文献数
32

Digitalization means fundamentally changing the framework of science, technology and social industry, and the services and customs that have been developed in that framework, beyond the mere digitization of existing systems and services. In other words, it is accelerating the transformation of science, industry, and society toward the digital native era, and there are signs of discontinuous change in the way universities, corporations, economies, and legal systems work. In such a situation of change, the framework of innovation policy also needs to change drastically. Although it is still fluid as of 2019, digitalization is also necessary in the creation of innovation policies, and it is foreseen that a mechanism with inclusiveness, immediacy, flexibility, etc. and small and quick trials according to the development of ICT will be necessary in the future.