- 著者
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服部 良子
- 出版者
- 日本家族社会学会
- 雑誌
- 家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, no.1, pp.36-48, 2015
- 被引用文献数
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本論ではケア労働に関する家族的責任支援政策の今後を考察する.1980年代までに日本の制度は男女別雇用構造を形成した.それは男性労働者は稼ぎ手で,女性は被扶養でケア労働担当という男女分業の家族制度との組み合わせの構造をもつ.これは専業主婦を男性の扶養者とする税制と社会保障制度とリンクしている.85年の基礎年金改革も専業主婦を被扶養者第3号被保険者として保険料負担を課していない.均等法対策として日本企業はコース別雇用管理を採用して85年以前からの男女別雇用管理が維持された.そしてバブル崩壊以降,正規雇用の長時間労働が継続した.またパートや派遣の非正規雇用はさらに拡大した.そのため90年代以降,少子化対策の均等法・育児介護休業法等は雇用制度のなかで十分運用されていない.また社会的ケア労働支援は保育ケア不足が継続している.介護が公的保険制度化されたのと対照的である.少子化対応や女性活躍推進政策のケア労働のため家族的責任支援政策は法令遵守の徹底が必要である.