著者
木ノ本 喜史
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.126-131, 2017 (Released:2017-05-30)
参考文献数
19

良好な根管充填が完了した歯であっても歯冠側から根管内に漏洩が生じると,修復前には認めなかった根尖性歯周炎が発症する.この現象はコロナルリーケージと呼ばれており,修復の再治療が必要となる原因の一つである.最終修復までの仮封の期間や支台築造装着までの根管の汚染,修復後の二次う蝕等がコロナルリーケージに影響を及ぼす.根管充填がしっかり達成されていれば,根尖へ感染は波及しないわけではなく,修復後にも根尖に感染が生じる可能性がある.歯内療法においては当然のことであるが,修復処置においても根管の感染を意識した処置が必須である.