著者
木下 真喜雄 板谷 清司
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:18842127)
巻号頁・発行日
vol.90, no.1046, pp.570-575, 1982-10-01
被引用文献数
1

酸化マグネシウムに二リン酸ケイ素を0.1-3.0mol%添加したときの焼結について, 昇温法 (昇温速度10℃・min<sup>-1</sup>, 室温~1400℃) 及び定温法 (1400℃, 5h) によって検討した. 昇温法では熱膨張計で収縮率を測定し, 定温法では焼成体のかさ密度を調べた. また両法で得られた焼成体の微細構造を調べた.<br>昇温法による焼結結果は定温法の結果とほぼ一致した. 昇温法において, SiP<sub>2</sub>O<sub>7</sub>添加MgO試料の収縮率曲線はMgO単味試料の曲線に類似していた. しかしながら, SiP<sub>2</sub>O<sub>7</sub>を添加した試料の収縮は初期及び中期過程 (900°-1300℃) で遅れ, 最終過程 (1300°-1400℃) で促進された. 一方, 定温法におけるMgO試料のち密化はSiP<sub>2</sub>O<sub>7</sub>の添加量の増加につれて抑制されたが, SiP<sub>2</sub>O<sub>7</sub> 0.1mol%添加MgOのち密化はMgO単味のものと同程度であった. 焼結中の反応生成物は無定形相, Mg<sub>2</sub>SiO<sub>4</sub>, Mg<sub>3</sub>(PO<sub>4</sub>)<sub>2</sub>及びSiO<sub>2</sub> (α型石英) であった. ペリクレースの粒成長はこれら生成物によって1300℃まで抑制された. また, 1300℃以上で生成する微量の液相によってMgOのち密化と粒成長が促進された.