著者
糸数 裕子 板谷 清司 梅田 智広 幸田 清一郎
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.420, 2006

噴霧熱分解法によるβ-オルトリン酸カルシウム(β-Ca3(PO4)2; β-TCP)の生成に及ぼす種々の有機化合物添加の影響を調べた。出発水溶液(Ca/P=1.5)の調製では1.8 mol・dm-3 Ca(NO3)2、1.2 mol・dm-3 (NH4) HPO4、濃HNO3の他に、0.2 mol・dm-3 有機化合物を添加した。有機化合物にはカルボン酸としてグルタル酸、また糖類としてラクトースを使用した。相変化はDTA-TGおよび高温X線を用いて検討した。以上の結果を基に噴霧熱分解によりβ-TCPが生成する過程で有機化合物がどのような影響を及ぼしているかを考察した。
著者
木下 真喜雄 板谷 清司
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:18842127)
巻号頁・発行日
vol.90, no.1046, pp.570-575, 1982-10-01
被引用文献数
1

酸化マグネシウムに二リン酸ケイ素を0.1-3.0mol%添加したときの焼結について, 昇温法 (昇温速度10℃・min<sup>-1</sup>, 室温~1400℃) 及び定温法 (1400℃, 5h) によって検討した. 昇温法では熱膨張計で収縮率を測定し, 定温法では焼成体のかさ密度を調べた. また両法で得られた焼成体の微細構造を調べた.<br>昇温法による焼結結果は定温法の結果とほぼ一致した. 昇温法において, SiP<sub>2</sub>O<sub>7</sub>添加MgO試料の収縮率曲線はMgO単味試料の曲線に類似していた. しかしながら, SiP<sub>2</sub>O<sub>7</sub>を添加した試料の収縮は初期及び中期過程 (900°-1300℃) で遅れ, 最終過程 (1300°-1400℃) で促進された. 一方, 定温法におけるMgO試料のち密化はSiP<sub>2</sub>O<sub>7</sub>の添加量の増加につれて抑制されたが, SiP<sub>2</sub>O<sub>7</sub> 0.1mol%添加MgOのち密化はMgO単味のものと同程度であった. 焼結中の反応生成物は無定形相, Mg<sub>2</sub>SiO<sub>4</sub>, Mg<sub>3</sub>(PO<sub>4</sub>)<sub>2</sub>及びSiO<sub>2</sub> (α型石英) であった. ペリクレースの粒成長はこれら生成物によって1300℃まで抑制された. また, 1300℃以上で生成する微量の液相によってMgOのち密化と粒成長が促進された.