- 著者
-
木下 紀之
- 出版者
- 日本健康教育学会
- 雑誌
- 日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
- 巻号頁・発行日
- vol.29, no.3, pp.306-312, 2021-08-31 (Released:2021-09-03)
- 参考文献数
- 7
目的:株式会社ファミリーマートは,中食商品を中心に取り組んだ減塩活動が2020年の厚生労働省スマートライフプロジェクトの「健康寿命をのばそう!アワード」で厚生労働大臣最優秀賞を受賞した.本報は,その取り組み内容と今後の方向性の報告を目的とした.内容:食市場における中食比率が高まる中で,ファミリーマートでは2018年から減塩プロジェクトを立ち上げた.学協会により認定を受けたスマートミール弁当や,JSH(日本高血圧学会)減塩食品の開発導入を皮切りに,2019年9月から2020年8月までの1年間で,弁当類・麺類・総菜類などを含めて28種類の既存商品の減塩化を行った.この間の販売数量は約1億食で,減塩効果は約100 tとなった.その内の26種類は「減塩」を商品パッケージに標榜しない「こっそり減塩」とした.これは消費者の「減塩」という表現に対するネガティブなイメージを回避するだけでなく,「おいしさ」重視の考え方から「減塩を標榜できる」減塩率にはこだわらないという方針としたためである.まとめと今後の方向性:ファミリーマートでは年間50億食以上の中食商品を販売している.ただし,これまでに達成したのは1億食の減塩である.今後も既存商品の見直しをすすめ,おいしさとボリュームはそのままの「こっそり減塩」を推進し,国民の健康寿命の延伸に貢献してゆきたい.