著者
木山 三佳
出版者
お茶の水女子大学日本言語文化学研究会
雑誌
言語文化と日本語教育 (ISSN:09174206)
巻号頁・発行日
no.5, pp.35-45, 1993-06-19

場面に応じた「誘い」の言語様式使用の指導のために、実際の言語活動に近い「誘い」を提示した教科書を用いることは大切である。よく利用されている初級・中級教科書15冊の分析を通じて、指導上の留意点を考察した。初級では形の定着をはかるために、提出順序の配慮が重要である。また会話者間の関係によって、どの言語様式を選択することが適切であるかを示すために、上下関係のある会話者間の「誘い」の会話例も提示することが必要であると考える。中級ではそれに加えて談話の展開方法を重層的にする工夫が必要である。言語化過程モデルによる「誘い」の伝達の段階に加えて、「誘い」の補足や説得の段階を、本文だけでなく練習も利用して提示することが望ましい。