- 著者
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木村 一榮
- 出版者
- 養賢堂
- 雑誌
- 畜産の研究 (ISSN:00093874)
- 巻号頁・発行日
- vol.63, no.1, pp.9-13, 2009-01
わが国の農業就業人口、基幹的農業従事者ともに高齢化が加速する中、農業の持続的発展を維持するためには、将来の農業の担い手となり得る青年農業者の育成確保が重要な課題となっている。このため、国および都道府県、関係団体等において必要な諸施策が講ぜられている。このような状況の中、農業大学校は、将来の農業・農村を担うべき人材の育成を行うため、高校卒業者等の入校者を対象に、実践的な研修教育を通じて、農業生産・経営に関する高度な知識・技術および農業が抱える諸課題に柔軟に対応できる能力の付与等において、それぞれの地域で青年農業者教育の中核的機関として役割を果たしている。農業大学校は、農業に関する普及事業を定めた農業改良助長法に基づき協同農業普及事業の一環として、設置運営されている農業者研修教育施設である。農業大学校はこの施設の通称であり、現在、道府県に42校整備され研修教育が展開されている。また、独立行政法人や民間の教育団体においても農業・農村の人材育成の目的から、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構農業者大学校、鯉淵学園農業栄養専門学校、八ヶ岳中央農業実践大学校、日本農業実践学園、中国四国酪農大学校等5校設置されており、併せて47校が設置運営されている。最近における道府県農業大学校の入校者、卒業者の状況は表1のとおり、少子化等の社会情勢の中で全体的な入校者の減少傾向、卒業者の就農過程の多様化等の状況がみられる中、効率的かつ安定的農業経営を担うべき青年農業者を育成するため、各農業大学校は、地域の特色を生かした研修教育により、意欲ある優れた担い手を多数育成、輩出する等地域農業の発展に大きく貢献している。