著者
木村 友亮 馬場 浩充 大洲 人士
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.969-975, 2020-08-15

要旨 【目的】本研究の目的は,歩行未自立の急性期脳卒中患者に対する長下肢装具(knee ankle foot orthosis:KAFO)を用いた歩行練習の有無が,急性期病院退院時の下肢の運動麻痺と回復期病院退院時の移動能力に及ぼす影響を調査することである.【方法】脳卒中患者47名を対象に,急性期病院退院時の下肢Brunnstrom Recovery Stage(BRS),回復期病院退院時の歩行項目と階段項目の機能的自立度評価法(Functional Independence Measure:FIM)点数,在院日数を後方視的に調査し,分析した.【結果】下肢BRSは,KAFO不使用群に対してKAFO使用群で,より運動麻痺の改善を認めた.また,歩行項目および階段項目のFIM点数において2群間に有意差を認めたが,在院日数に有意差は認められなかった.急性期病院退院時下肢BRSと回復期病院退院時の歩行項目および階段項目のFIM点数における相関関係は,KAFO使用群で有意な正の相関を認め,KAFO不使用群では歩行項目のFIM点数のみ正の相関を認めた.【結論】急性期脳卒中患者に対する歩行練習は,運動麻痺の回復や歩行,階段動作の獲得における長期予後に影響しており,歩行未自立者に対してKAFOを用いて可及的早期より歩行練習を行うことの有効性が高いことが示唆された.