著者
伏屋 雄紀
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.75, no.8, pp.515-516, 2020-08-05 (Released:2020-11-14)
参考文献数
4

ラ・トッカータ ゼミ本シリーズ日本語からはじめる科学・技術英文の書き方
著者
天羽 優子 菊池 誠 田崎 晴明
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.342-346, 2011-05-05 (Released:2019-10-22)
参考文献数
4

「『ありがとう』などの『よい言葉』を見せたり『美しい音楽』を聴かせたりした水は凍らせたとき美しい結晶を作るが,『ばかやろう』などの『悪い言葉』を見せた水は凍らせても結晶を作れない」というのが「水からの伝言」という物語である.この単なるファンタジー(ないしはオカルト)が,時に「科学的」とさえみなされ,学校教育の現場にまで浸透している.ここでは,予備知識のない読者を想定し,「水からの伝言」をめぐる状況を紹介し,関連する問題点や論点を簡潔に整理したい.
著者
田崎 晴明
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.741-747, 1996-10-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
26
被引用文献数
1

磁石(強磁性体)の中で, 数多くの電子のスピンが同じ方向を向いてそろうのは何故か? この古典的な間に答えるためには, 強い非線形な相互作用を及ぼしあいながら, 複雑に絡み合って量子力学的に運動する多くの電子たちの生み出す物理的なストーリーを読みっとていかなくてはならない. そのような理論的な試みの一つの側面を, Hubbard模型での強磁性の厳密な例を中心に解説する. 学部程度の量子力学の知識だけを前提にして, このテーマのおもしろさと最近の結果を伝えたい.
著者
赤池 弘次
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.608-614, 1980-07-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
3
被引用文献数
2

L. Boltzmannによって導入されたエントロピーを統計的分布の確率の対数とする解釈は, 統計と確率との本質的な関係を明らかにする歴史的な貢献である. 数理統計学の発展は, このBoltzmannの業績に対する認識を欠いたままにすすめられたが, 最も著しい成果とみなされるものは常にこの確率論的エントロピーの概念に密接した研究によって得られている. 予測の視点と確率論的エントロピー概念との結合によって, 統計的方法の展開に有効な統一的視点が得られるとするのが筆者の主張である. これによって尤度概念の役割とその重要性に客観的な説明が与えられ, 従来問題視されたベイズ(Bayes)理論の実際的利用への道が開かれる.
著者
広重 徹
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.380-388, 1971-06-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
11

特殊相対性理論はMichelson-Morleyの実験から生まれたという, ほとんどだれもが当然のこととしている解釈はじつは根拠のない神話であることが, 最近の物理学史研究によって明らかとなる. なぜそれを神話と判断するのか. それが支持できないとすれば, 代わるべき解釈はいかなるものか. 歴史的背景とEinsteinの思考の発展との両面から考察してみよう.
著者
内村 直之
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.300-301, 2019-05-05 (Released:2019-10-02)
参考文献数
6

特別企画「平成の飛跡」 Part 1. 物理学をとりまく環境の変化物理学,物理学者と社会
著者
南部 陽一郎
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.2-8, 2002
参考文献数
4

<p>20年以上前のことだが, 私の生涯と仕事について物理学会誌に書いたことがある.^<1)>今回またこの機会を与えてくださった編集者の方々に前もって感謝の意を表します.さて私の昔の記事を読んでみたら, 1960年半ばごろまでの私の周りに起きたことごとを述べてあるので, 当然今回はその続編ということになる.しかし新しい読者を考慮し, また社会的背景をも含めたいと思って初めからやり直すことにした.</p>
著者
森田 紘平
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.532-534, 2021-08-05 (Released:2021-08-05)
参考文献数
20

歴史の小径量子力学を解釈するとはどういうことだったのか
著者
堀田 昌寛 遊佐 剛
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.69, no.9, pp.613-622, 2014-09-05 (Released:2019-08-22)

現在広範なテーマを巻き込みながら,量子情報と量子物理が深いレベルから融合する量子情報物理学という分野が生まれ成長しつつある.なぜ様々な量子物理学に量子情報理論が現れてくるのだろうか.それには量子状態が本質的に認識論的情報概念であるということが深く関わっていると思われる.ボーアを源流とする認識論的な現代的コペンハーゲン解釈は量子情報分野を中心に定着してきた.この量子論解釈に基づいた量子情報物理学の視点からは存在や無という概念も認識論的であり,測定や観測者に対する強い依存性がある.本稿ではこの「存在と無」の問題にも新しい視点を与える量子エネルギーテレポーテーション(Quantum Energy Teleportation;QET)を解説しつつ,それが描き出す量子情報物理学的世界観を紹介していく.QETとは,多体系の基底状態の量子縺れを資源としながら,操作論的な意味のエネルギー転送を局所的操作と古典通信(Local Operations and Classical Communication;LOCC)だけで達成する量子プロトコルである.量子的に縺れた多体系の基底状態においてある部分系の零点振動を測定すると,一般に測定後状態の系は必ず励起エネルギーを持つ.これは基底状態の受動性(passivity)という性質からの帰結である.このため情報を測定で得るアリスには,必ず測定エネルギーの消費という代償を伴う.またアリスの量子系は量子縺れを通じてボブの量子系の情報も持っている.従ってアリスは,ボブの系のエネルギー密度の量子揺らぎの情報も同時に得る.これによって起こるボブの量子系の部分的な波動関数の収縮により,測定値に応じてアリスにとってはボブの量子系に抽出可能なエネルギーがまるで瞬間移動(テレポート,teleport)したように出現する.一方,この時点ではまだボブはアリスの測定結果を知らない.またアリスの測定で系に注入された励起エネルギーもまだアリス周辺に留まっており,ボブの量子系には及んでいない.従って対照的にボブにとってはボブの量子系は取り出せるエネルギーが存在しない「無」の状態のままである.このように,現代的コペンハーゲン解釈で許される観測者依存性のおかげで,エネルギーがテレポートしたように見えても因果律は保たれている.非相対論的モデルを前提にして,系のエネルギー伝搬速度より速い光速度でアリスが測定結果をボブに伝えたとしよう.アリスが測定で系に注入したエネルギーはボブにまだ届いていないにも関わらず,情報を得たボブにも波動関数の収縮が起こり,自分の量子系から取り出せるエネルギーの存在に気付く.そしてボブは測定値毎に異なる量子揺らぎのパターンに応じて適当な局所的操作を選び,エネルギー密度の量子揺らぎを抑えることが可能となる.その結果ボブは平均的に正のエネルギーを外部に取り出すことが可能となる.これがQETである.このQETは量子ホール系を用いて実験的に検証できる可能性が高い.一方,相対論的なQETモデルはブラックホールエントロピー問題にも重要な切り口を与える.
著者
石川 顕一
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.71, no.12, pp.818-819, 2016-12-05 (Released:2017-10-31)
参考文献数
5
被引用文献数
2

現代物理のキーワード電子の超高速運動を観測する・操作する