著者
木村 太紀
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.98, no.6, 1988

都下特殊浴場従業員(ソープランド嬢)100名を対象として,STDとくに梅毒・B型肝炎・サイトメガロウイルス・単純ヘルペス・ATL・AIDS・クラミジア等の蔓延状況を,血清抗体測定を通じて間接的に検索した.1)被験対象者 平均年齢は26歳,平均従業期間は16ヵ月であった.2)梅毒血清反応陽性者21%(名)と高率を示し,就中不顕性感染者は18%(名)であった.3)B型肝炎ウイルスについてはHBs抗体保有者が30%にみられたが,HBs抗原保有者はみられなかった.従業(経験)年数と陽性率との間には相関関係が認められた.4)ATL,AIDS抗体陽性者はみられなかった.5)サイトメガロウイルスについては92%が抗体保有者であったが,対照とした一般女性群の抗体保有率(96%)も高く,この値の示す意義はあまり大きくないものと考えられた.6)クラミジア抗体保有者は被験対象者では80%に達し,正常対照者の36%に比し高率を示した.7)単純ヘルペスについては,被験対象者の88%が抗体高値陽性であり,正常対象者における比率45%に比し高率を示した.