著者
木村 志津雄
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.615-618, 1994-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8

1987年北海道留萌管内暑寒別川水系サクラマスより得た約3, 000尾の孵化仔魚の中に, 28尾のパーマークおよび体側, 背部に黒点のない無斑紋魚を発見した。1988年に通常のサクラマス雌と無斑紋雄とを交配して得たF18, 000粒の受精卵は全て有斑魚となり無斑紋魚は出現せず, 無斑型は劣性であると推定された。1991年に得られたF2における斑紋発現は有斑から無斑魚まで多様な斑紋型が現れた。完全無斑紋魚の出現は0.7%と低率であった。無斑紋魚同士交配したF3における無斑紋サクラマスの出現率は, 76%と高率となった。無斑紋サクラマスは将来, 放流後の再捕試験などに役立つと考えられる。