著者
山口 日名子 地嵜 和子 木村 未夏
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.537-544, 2005-07-01 (Released:2017-08-01)

受診の動機が,子の症状を通じて親自身が病者の役割をとることにあると判断される症例を「代理症」と名づけ,その特徴と医療の対応について検討した.12例中2例の親は代理人による虚偽性障害と診断された.子の症状にはさまざまな身体症状と問題行動が含まれていた.家庭背景は9例に親による子へのmaltreatmentがあり,これらの親にもmaltreatmentされた生育歴があって世代間伝達がみられた.9例が家族機能不全に陥っていた.代理症状で小児科を受診することにより親は間接的に自身のケアを求めていた.小児科医には,代理症を認識しそれによる受診を暖かく受け止め,関係機関と連携して援助する責務がある.