著者
末吉 悦代 濱田 暁子 出口 弦舞 大薗 洋 高橋 晴奈 内川 研
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.186-189, 2006-03-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
15

多様な病態を呈し, リハビリテーションをすすめる上で考慮する点の多い頚髄損傷患者に対する, 当院での作業療法を紹介する.訓練開始時期においては, 安定した座位姿勢を作りながら机上での作業といった機能訓練を行い, 日常生活動作としては食事や整容動作の獲得を目指す. 活動性が向上する時期では, 動的なバランス訓練を行い, 日常生活動作としては, 複合的な更衣, 移乗, 排泄動作などを行っていく. また, 近年増加傾向にある不全頚髄損傷では, 移動能力を把握することと柔軟性の低下した身体に根気よくアプローチすることがポイントである. 高齢頚髄損傷では合併症を呈する割合が高く, 特性を踏まえた対応が求めれる. また, 家族に対しても身体的, 精神的な負担を考慮しながらサポートしていく必要がある.