著者
末木博彦
出版者
医薬ジャーナル社
巻号頁・発行日
pp.1636-1641, 2013-10-15

小児のアトピー性皮膚炎では国内外の疫学研究から肥満と有意の関連性があり,特に幼児期に一定期間持続した肥満がアトピー性皮膚炎の病態悪化に関与する可能性がある。これに対し,成人アトピー性皮膚炎では肥満との関連性を示唆する米国の疫学研究があるが,わが国を含め現在までのところこれを支持する報告はない。肥満とアトピー性皮膚炎を結びつける機序としてアディポネクチンの低下に伴うIL-10の発現低下により抑制系が働かないこと,レプチンを介するTh1/Th2バランスの変化,TNF-αの発現亢進によるアレルギー炎症の増悪などが想定されている。