- 著者
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末續 鴻輝
- 雑誌
- ゲームプログラミングワークショップ2017論文集
- 巻号頁・発行日
- vol.2017, pp.230-235, 2017-11-03
完全情報ゲームの多くの研究は2人プレイのものに限定され,3人以上でプレイするゲームに関する研究は,Li[1]や,Straffin[2],Propp[3]などの研究があるものの,その絶対数は少ない.その理由の一つには,3人以上のゲーム独自の問題がある.2人ゲームにおいては,ゲーム木をすべて書き下し,終了局面から再帰的に遡ることで,それぞれの局面において先手に必勝手順が存在するか,あるいは後手に必勝手順が存在するかどうかを判定することができる.しかしながら,3人以上のゲームにおいては,このように一意に勝者を定めることはできない.本研究では,Liが導入した順位の拡張とも言える概念を導入し,よく知られた完全情報ゲームNIMの多人数版の解析を行う.さらにこれが,正規形のゲーム (最後の着手をしたプレイヤーの勝ちとなるゲーム)だけでなく逆形のゲーム (最後の着手をしたプレイヤーが負けとなるゲーム)を含めた拡張となっていることを示す.