著者
本多 啓吾
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 (ISSN:24365793)
巻号頁・発行日
vol.124, no.12, pp.1577-1583, 2021-12-20 (Released:2022-01-01)
参考文献数
5
被引用文献数
1

頸部郭清術は, 頭頸部外科医が主体となる治療 (技) のうち, 最も重要なものの一つである. 頸部のリンパ (脂肪) 組織の多くは, 静脈周囲に存在し, 筋膜によって区分されている. 根治的頸部郭清術に始まった系統的郭清は, 根治的頸部郭清術変法から選択的頸部郭清術へと, 低侵襲化と個別化が進んでいる. 今日では, 症例毎に郭清範囲や切除法 (radicality) の選択と調整が求められている. その際, より戦略性の高い頸部郭清を計画し遂行するためには, 局所指向性の高いリンパ流およびリンパ組織領域の把握が必要である. 本稿では, 頸部のリンパ組織を立体的かつ動的に把握する助けとなる解剖学的事項を整理する.