著者
鈴木 敏明 梶原 貴利 本橋 知子 小村 和司
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.2245-2258, 2019-12-15

近年,自動車等の多様な移動体が通信ネットワークに接続され,通信ネットワークを経由した管理やサービスの提供が進展している.一方,通信ネットワークにおいては,アプリケーションサービス等を提供するサーバに対して,遠隔の端末から多数の不要データを送信することにより,通信ネットワークにおける帯域不足を誘発する等のサイバー攻撃が発生している.従来は,固定端末等からのサイバー攻撃が主であった.今後は,移動体を対象としたサイバー攻撃対応が望まれる.本論文では,異常フローを送信する移動体の基地局間移動を対象とし,移動後においても遅滞なく異常フローの遮断継続が可能な方式を提案する.提案方式では,複数の基地局が存在する領域をリージョンとして管理し,リージョン単位にゲートウェイで異常フローを遮断する.特に,異常フローを送信する移動体が接続する基地局エリアに対して隣接する基地局エリアすべてに遮断を設定する.また,各リージョンに設置した管理サーバが遮断情報を共有する分散型のネットワーク管理により,隣接リージョンに対しても遮断の設定が実行される.これにより,異常フローを送信する移動体が基地局間を移動するようなモバイルネットワークに対して,遅滞のない異常フロー遮断が可能となる.