- 著者
-
楠 和久
吉嵜 友之
竹田 朋子
本田 宗宏
- 出版者
- 一般社団法人 日本糖尿病学会
- 雑誌
- 糖尿病 (ISSN:0021437X)
- 巻号頁・発行日
- vol.58, no.6, pp.388-397, 2015-06-30 (Released:2015-07-08)
- 参考文献数
- 25
- 被引用文献数
-
4
インスリン治療中の糖尿病患者で腹部のインスリン注射部位に皮下腫瘤を認めた10例において,病理組織や画像検査,インスリン吸収について詳細な検討を行った.病理では4例に主としてアミロイド沈着を,6例に主として膠原線維増生を認めた.アミロイド沈着・膠原線維増生ともに異物型巨細胞や類上皮細胞肉芽腫を認め,組織球がインスリンを貪食している所見も認めた.画像検査ではアミロイド沈着は体表超音波では深部減衰を伴う低エコー域として描出され,CTでは高吸収を示した.インスリン負荷試験ではアミロイド沈着例だけでなく,膠原線維増生例でもインスリン吸収の低下を認めた.膠原線維増生はアミロイド沈着の前段階の可能性があり,この時点で既にインスリン吸収の低下を認めることから視診・触診はもとより,時には画像検査を行い,線維化の段階で皮下腫瘤の早期発見に努めることが重要である.