著者
本田 智治 橋爪 可織 松浦 江美 永田 明 大山 祐介
出版者
一般社団法人 日本救急看護学会
雑誌
日本救急看護学会雑誌 (ISSN:13480928)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.20-28, 2022 (Released:2022-05-24)
参考文献数
18

目的:救命救急センターの救急外来における実習の学びの語りから、看護学生の体験を明らかにする。方法:成人看護学実習を履修し救急外来実習を選択したA大学3年次生の看護学生6名に半構造化インタビューを行った。インタビュー内容は、実習中の体験や実習指導者および教員のかかわり、実習前後の救急看護のイメージなどで構成し、質的記述的研究法を用いて分析した。結果:看護学生の救急外来での実習にかかわる体験を示すコードから12個のサブカテゴリーを抽出し、《メディアで形成された希薄な救急医療のイメージが実習によって具体的になる》《救急医療における医療者・患者・家族の姿から、医療現場の現実を学ぶ》《救急外来でも病棟と変わらない自分が学んだ看護が存在することを確認する》《救急看護師の姿を通じて自分の将来における選択肢が増える》の4個のカテゴリーが見出された。看護学生は、救急外来での実習によって現実的な救急医療を学び、患者や家族の感情の代理的経験をすることによって共感が生じていた。そして、救急外来における看護を確認し、将来の選択肢の拡大という変化が生じていた。結論:本研究では、救急外来の実習によって救急看護のイメージが具体的なものとなり、患者・家族、実習指導者である看護師の姿を通じて、救急医療の現実を学び、自分自身が学んだ看護を確認するとともに将来の選択肢が増えるという看護学生の体験が明らかになった。