著者
本間 光雄 大場 覚 奥原 博久 大道 重道 河合 寿一
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.294-303, 1978

1972年8月~1977年2月間に当院において後腹膜領域での緊急症例にAngiographyを応用した症例の実態を報告すると共に, その中で, 比較的Major injuryの腎損傷例の4例について, 腎動脈造影所見を中心に報告した. すなわち<br>1) Emergency angiographyの実施例は総数23例で, うち診断確定例は17例(73.9%)であつた. 内訳は腎損傷5例, 腎梗塞6例, 腎実質内出血4例, 腎静脈塞栓及び早期の腎癌各1例であつた.<br>2)腎損傷の4例はすべて腹部単純及びD. I. P. 像共に異常所見がみられたが, その進展及び程度を知る上では腎血管像が大切であつた.<br>3)腎外性血腫を伴つた2症例では, 動脈造影の早期静脈相で, 既に腎過誤腫の所見として記載されている, いわゆるWhorled "Onionpeel" appearanceとしての濃染像がみられた.<br>この所見はAngio嫁においてPerirenal hematomaの有力な診断所見と考え強調した.