著者
谷沢 欽次 本間 豊邦 河西 史人 川久保 克彦 中村 利家
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.643-649, 1987-11-20 (Released:2010-08-05)
参考文献数
14

ピラゾレートの田面水中での分散性が除草効果に及ぼす影響を田面水の流亡のないポット試験で検討した.田面水中での崩壊分散性が異なる2処方で, 押し出し粒径0.6および0.9mmの計4種の粒剤の除草効果を比較したところ, どの粒径でも崩壊分散のよい粒剤のほうが高い除草効果を示した. 崩壊分散のよい処方では粒径間の差はなかったが, 悪い処方では, 粒径が小さい粒剤のほうがミズガヤツリに対する除草効果が優れていた.同一粒度のピラゾレートを有する懸濁剤と粒剤 (施肥区と無施肥区) について除草効果を比較すると, 主剤の粒度がきわめて細かいものでは製剤型間の差はなかったが, 粒度が粗くなるにつれて粒剤の除草効果は懸濁剤より悪くなった. 粒剤の施肥区と無施肥区では崩壊分散のよい無施肥区のほうが高い除草効果を示した.同一キャリヤーより調製した崩壊分散が異なる3種類の粒剤の除草効果を施肥条件下で比較したところ, 崩壊分散のよいものが除草効果も高かった.以上のように, ピラゾレートの除草効果には, 主剤の粒度とともに, 田面水中における主剤の分散性が影響を与えた. 一方, ピラゾレート施用期の田面水は, 粒剤の崩壊分散性からみて, 10度以上の硬水に相当するものは少ないと考えられた. したがって, ピラゾレート粒剤は10度硬水中で良好な崩壊分散を示す処方とする必要がある.