著者
朱 武平 シュ ブヘイ ZHU WUPING
出版者
千葉大学大学院社会文化科学研究科
雑誌
千葉大学社会文化科学研究 (ISSN:13428403)
巻号頁・発行日
no.12, pp.142-156, 2006-03

日本語のとりたて表現には主に2種類の形式があるとされている。一つは「特に、もっぱら」などのような副詞1によるとりたてで、もう一つは「だけ、ばかり、こそ、さえ」などの助辞によるものである。本稿では、後者のとりたて助辞2を対象とし、「も」をとりあげて考察をおこなう。「も」について、とくに従来あきらかにされてこなかった他の助辞との相互承接の面に重点を置き、実例から確認することができるすべてのパターンと、その出現の傾向について考察する。手元にある資料には限りがあり、充分な結果が示されるとは言えないが、「も」による格助辞、副助辞、係助辞(「も」を除き)のとりたて形式を示し、その文法的特徴をあきらかにするという目的は果たせているだろう。