- 著者
-
朴 〓用
小森谷 清
金子 真
大野 武房
谷江 和雄
- 出版者
- The Robotics Society of Japan
- 雑誌
- 日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
- 巻号頁・発行日
- vol.5, no.4, pp.283-290, 1987-08-15 (Released:2010-08-25)
- 参考文献数
- 14
分布型触覚センサの重要な機能の一つに, 形状認識機能がある.この機能を実現するには, 対象との接触によってセンサ面に生ずる変形 (押込み量) を検知する必要がある.本論文では, こうした変形を検知し得る分布型センサを光導波板を用いて構成することを試みた.大気中に置かれた透明な板の側面より光を照射すると, 透明板・大気箋界面において, 照射光はその入射角が臨界角以内の時, 全反射して透明板中を進行する.この透明板に, 下面に凹凸のある白色弾性シートを接触させ, それに荷重を加えるとシートの凸部が圧縮されて透明板上に密着する.この密着部分では全反射の条件が満されず, 白色弾性シート表面で, 臨界角以上の角度方向へ光が散乱する.密着面の大きさが白色弾性シートに加わる圧力・変位により変化するように構成し, 散乱光を透明板のシート密着面の反対側から観測するようにすれば, シートに加わる圧力分布や変形状態を散乱光量の分布として検出することができる.本研究ではアクリル製透明板, 円錐状の突起をもつ白色弾性シート, フォトトランジスタマトリクス, プラスチック製光ファイバ, 光源からなるセンサを試作するとともに, 散乱光強度からセンサ面の押込み量を推定する関係式を導出した.またセンサ出力をマイクロコンピュータで処理するシステムを構成し, 上記関係式をもとに数種の物体形状を視覚表示出力として再現する実験を行った.対象の形状の絶対値を求めるには問題があるものの, 形状の幾何学的特徴を抽出するには満足なセンサ出力が得られることが実験的に確認された.