著者
朽原 京子
出版者
近畿大学臨床心理センター
雑誌
近畿大学臨床心理センター紀要 = Bulletin of Center for Clinical Psychology, Kinki University (ISSN:21868921)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.11-22, 2012

[要約] 本研究では、乳幼児を育てる中で、母親が体験する乳幼児期の「ポジティブな追体験」について、その内的体験を探索的に調査した。結果、母子一体感の中で追体験が生じ、その中で母親は、自身の母親の子育てや幼き自分に肯定的な思いをはせることで、我が子への愛情や責任を再確認し、母親を介して母親像モデルを探求しながら、気持ち新たに子育てへと取り組むこと、さらに世代性の意識へとつながっていくことがわかった。つまり、自身の乳幼児期のポジティブな追体験」によって、理想的な母子像が内在化され、母親は、自身の子育てへの支えや指針を得ていると想像できた。またそのプロセスは心理療法の本質と重なる体験であると考察された。