著者
杉井 純一
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.1-23, 2008-06-30

八〇年代以降、伝統的な中国宗教からキリスト教カリスマ運動へと改宗するシンガポールの若者が急増している。特に、フェイス・コミュニティ・バプティスト教会(FCBC)は多くの信徒を有するメガ・チャーチとなっているFCBC の特徴は小集団(セル・グループ)組織と奇跡を強調する第三の波運動の神学である。例えば'セル・メンバーの信仰体験談には、牧師の祈りやセル・グループの集会によってもたらされた奇跡的治癒の事例が数多くみられる。このように、シンガポールの華人は、第一に、身体の病気に関わる奇跡によってFCBCに惹きつけられている。第二に、FCBCは霊的、精神的な癒しを若者に与えている。第三に、FCBCは生きることの意味や霊的なライフスタイルを信徒に与えている。こうしたFCBCの多機能性がシンガポールの華人青年にとって大きな魅力となっているのである。