著者
栖関 邦明 杉山 阿葵 長橋 健太郎 岡田 謙一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.2-13, 2010-01-15

災害時救急救命活動において特に緊急に治療を必要としない軽症患者や中等症患者の治療を一時的に遅らせることや,緊急度が高く助かる見込みのある傷病者をトリアージ(選別)することが災害時救急救命において行われている.現在のトリアージ活動において電子化がなされていないため傷病者の急激な容体の悪化などをリアルタイムで把握ができない,医療従事者が多数の赤タグ負傷者の搬送順を決められないことが問題点としてあげられる.本研究では我々は無線センサネットワークを利用し,傷病者を従来の絶対基準によるトリアージ評価により分類した後,生体情報と外傷の情報をもとに傷病者同士を相対的に比較し,同じ色に分類された傷病者集団の中でどのくらい治療を優先するのかを自動的に割り出すシステムを提案した.システムの機能検証用に作成した人間のバイタルサイン発生装置バイタルサインジェネレータを用いて実験を行ったところ,システムがリアルタイムに変化する傷病者の生体情報を取得し,バイタルサインが急激に変化している傷病者を割り出すことが可能であるという結果が得られた.