著者
杉本 篤信
雑誌
経営情報研究:摂南大学経営学部論集 (ISSN:13402617)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1・2, pp.1-12, 2021-02

本稿では、金融政策と財政政策の関係を中央銀行と政府の非協力ゲームと協力ゲームの解として考察した。その結果を1990年以降の日本の経済政策において、金融政策、財政政策がどのように実施されたのかを分析して、ゼロ金利政策以前は非協力ゲーム、それ以降は協力ゲームとして解釈できることが分かった。 In this paper, we consider the relationship between monetary policy and fiscal policy as solutions of non-cooperative games and cooperative games of the central bank and the government. We analyzed the results of how monetary and fiscal policies were implemented in Japan’s economic policy since 1990, and found that they could be interpreted as non-cooperative games before the zero interest rate policy and cooperative games after zero interest rate policy.
著者
"杉本 篤信" "スギモト アツノブ" Atsunobu" "Sugimoto
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.11-28, 2009-02

"ケインズ経済学において,独立支出の増加がGDPに乗数倍だけの増加をもたらすという「乗数理論」は,財政政策の効果に大きな期待をさせる理論的根拠になっている.しかし,日本の90年代の長期不況期に財政政策の効果は小さくなったと認識され,ケインズの経済学への信頼が薄れてきた.それに対して,伊東光晴氏はその著書において,90年代の資産デフレ不況下において,政府支出の増加は,在庫投資や投資の減少により,財政政策の効果が弱められたのであったと主張する.本稿では,この伊東氏の見解を,データを通して計量的手法で考察した.結果は,伊東氏の主張は裏付けられず,90年代の政府支出と在庫投資や投資との相関関係はなかったと推察される."