著者
三木 康朗 杉本 義一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1983, no.5, pp.697-703, 1983-05-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
39
被引用文献数
1

アントラセン油に含まれる縮合多環芳香族炭化水素,フェノール類および窒素化合物を,溶融シリカ毛管カラムを備えたガスクロマトグラフおよびGC-MSを用いて分析した。フェナントレン,ピレン,ジベンゾフラン,カルバゾール,ヒドゴキシビフェニル,ナフトールなどをアルキル化,フェニル化,あるいは水素化しておよそ500種類の化合物を含む種々の混合試料を合成した。一方,アントラセン油は精密蒸留により40留分に分励して各留分ごとにクロマトグラムを得その各ピークについてカラムの保持時間,分子量および質量スペクトルの分布を標準試料と比較して同定した。アソトラセン油からさらに極性成分および酸性成分を抽出し,前者から窒素化合物を,後者からフェノール類を分析した。分析にはHewlett-Packard社の5880Aガスクロマトグラフおよび5992A四極子型GC-MSを用いた。芳香族および窒素化合物の分析にはSP-2100カラムを用い,フェノール類の分析にはOV-1カラムを用いた。また窒素化合物の分析にはFID検出器とNP検出器を併用した。カラム温度の3段階の昇温プログラム(35℃,25min;5℃/min;100℃,5min;3℃/min;150℃,3min;2.5℃/min;260℃,50min)により全成分を同時に分析した。