著者
松尾 弘文 杉村 巌 小西 行夫 種田 光明
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.71-78, 1987

北海道鷹栖町は, 旭川市に隣接する農業 (主に水田) を主な産業基盤とする人口約7,500の農村地区である。同町では無床の開業医療機関が一か所あるのみである。住民のヘルスニーズに応えるべく, 昭和50年より住民総合健診を実施してきた。疾病の早期発見, 予防につとめ発症後も早期にまた効率よく一次医療機関および二次医療機関に受診できるように, 健診を中心としてのプライマリ・ヘルスケア (以下PHC) の確立をめざしてきた。<BR>今回の調査では健診開始10年目を迎え, 健診がPHCの確立にいかに寄与したかを調査し検討した。結果として, 疾病の有症者数の改善, 医療費上昇の抑制, 病診間の連携, 保健意識の向上などが認められた。以上のように, 健診を中心としたPHCの確立は, 医療機関の乏しい農村地区においては有効であると考える。