著者
杉浦 将人
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.61-69, 2022 (Released:2022-03-31)
参考文献数
17

本研究の目的は、急変時に必要な看護実践能力を見極め、効果的な急変対応教育につなげるための示唆を得るために、小児病棟の医師が看護師に期待する内容を明らかにすることである。医師10名を対象に半構成的面接を行い、面接内容を質的に解釈して期待の内容を抽象化し、コアカテゴリーを見出すとともに、関係性を概念図に表した。その結果、医師の期待は「患児の状況に合わせた予測や対応に関する知識を習得している」、「患児の状況・成長を考慮し医師の指示に基づいた処置・検査・治療の実施と環境調整ができる」、「緊急度に合わせたチームのコミュニケーションづくりができる」、「家族への傾聴や児の状況説明ができる」であった。これらは、患児の急変対応に関する知識の習得を基盤として、チームのコミュニケーションづくりを念頭に置いた技術の実践や環境調整が期待されていた。また、意思決定者である家族への対応を看護師に期待していることも解釈された。